高校受験の合格発表を見に行く時はハラハラドキドキでした。ギターなんか弾く暇があったら、もっと勉強しておけば良かったと何度も心の中で反省しました。それでもなんとか無事第一志望の高校に合格することができて、これで思う存分「さだまさし三昧」が出来ます。それ以降自分の自由になる時間は全て、さだまさしさんのレコードを聞きながらギターを爪弾くという贅沢な時間を過ごしました。本格的にギターの練習を始めたのは高校生になってからです。練習と言っても特別目的があったわけではなく、ただ、さだまさしさんの真似をして、ギターを片手に歌を歌って、少しでもさだまさしさんに近づきたかっただけなんです。ですから、わざわざ月謝を払ってギター教室に通った訳でもなく、譜面も読めないので完全に自己流でレコードから音を拾って弾いていました。姉は、姉のギターを自分が弾くことに不満で、ブツブツ言っていましたが、そんな姉も段々とギターを弾かなくなり、いつのまにかほとんど自分のギターって感じになっていました。学校から帰ってくれば、すぐにギターケースからギターを取り出してまず1曲。 グレープ時代の3枚のLPとソロアルバム「帰去来」、合計4枚のLPに収録されている全ての曲を日替わりで毎日、ガチャガチャ飽きることなくやっていました 。 最初の頃は、特に我が家の女性陣から「うるさい!」「近所迷惑!」「雑音ヤメロ!」 といった野次が矢の如く飛んで来ましたが、時間が経つに連れてその声は「あの曲弾いてよ!」というリクエストに変わって行ったのでした。