「高校一年生の夏休み」

「我が青春に『さだまだし』・・・あり!」
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 待ちに待った高校生活初めての夏休みを、思う存分満喫しようと思っていた自分の前に大きく立ちはだかったのは、鬼のような宿題の山でした。     
 1977年7月25日にはさだまさしさんのソロセカンドアルバム「風見鶏」が発売されるというのに、はっきり言って宿題なんかやってる暇はないのです。如何に効率良く宿題を終わらせるかが夏休みの最大のテーマでした。悩みに悩み、考え抜いた作戦は、友達同士でそれぞれの得意な科目を分担します。そしてあとは何も考えずに、それぞれが完成した宿題を代わりばんこに写すだけ。抜群のチームワークは深い友情で結ばれた信頼関係の為せる技でした。(夏休みが終わって宿題を提出した数日後、我々は全員職員室に呼び出され、たっぷりと油を絞られました。)が、しかしこのオートメーション作業すら使えない宿題があるのです。それは自分が最も苦手とする読書感想文でした。小さい頃から本は大嫌いでした。国語の時間に配られたプリントには、100冊以上の書籍の名前が連ねられていて、この中から好きな本を選んで読書感想文を書いて来なさいというのが宿題の趣旨でした。前書きとあとがきだけ読んで感想文が書けるほど、自分は器用ではありません。自分の出来る囁かな抵抗は、100冊以上ある書籍の中から、ページ数の一番少ないやつを本屋さんに行って探し出すことでした。でも本屋さんで100冊の本を探し出してページ数を調べるって、メチャクチャ大変な作業です。それでも少しでも読むページが少ない方がマシだと思い決行、そして100冊の中で『一番ページ数の少なかった大賞』に輝いたのは、森鴎外の「雁」だったのです。 

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