森鴎外「雁」の舞台への行き方

森鴎外との出逢い
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 もともと読書が大嫌だった自分が、8月半ば過ぎには「雁」をすべて読み終えていたのは快挙です。感想文にはちょっと手こずりましたが、8月後半には他の宿題もほぼ終わって、高校一年生の夏休みもあと数日。残りの時間は好きなギターを弾くだけって感じだったのですが、夏休みが終わる寸前になって、「雁」の舞台である不忍池や無縁坂を自分の足でどうしても歩いてみたいという衝動に駆られたのです。一度そう思い込むと、もういてもたってもいられず、父親の書斎にある本棚の片隅から、埃を被った東京の地図を引っ張り出して、母親には夏休みの宿題で、読んだ小説の舞台になった場所の写真を撮ってくると言って、交通費と昼飯代をせしめて早速カメラを持って出掛けました。
 JR山手線の上野駅を公園側に出たら、すぐ目の前の道を左方向に歩いて不忍池を目指します。
 不忍池を右手に見ながら道路に沿って進むと、「不忍池西」という交差点があります。その交差点を左に折れてすぐ細い道路を一本横切るとそこから登り坂になっていて、その坂が無縁坂です。坂を登って行くと途中に無縁坂と書かれた看板が建っていて、森鴎外の「雁」の舞台であることが記されていました。
 この坂で繰り広げられた、主人公の岡田とお玉との心の葛藤を思いながら、来た道を不忍池に戻ると、たくさんの雁が池で騒がしく泳いでいました。
 それからの自分はギターをガチャガチャやる傍ら、森鴎外の他の作品にも興味を持ち始め、片っ端から森鴎外を読み漁ることになるのです。
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