長い長い数日間がやっと過ぎて、待ちに待ったお迎えの日がやって来ました。カミさんは洗濯ものを干した後、約束の時間まで待ちきれないと言って、気をまぎらわすために庭いじりを始めていましたが、ついつい時間の経つのを忘れてしまい、「そろそろ行こうか?」「え!もうそんな時間?」カミさんは慌てて手を洗い、玄関に用意してあった、おしっこシートを敷き詰めたダンボール箱を脇に抱えて車に乗り込みました。カミさんの手にはまだ所々に土汚れが残っていましたが、もう気持ちに余裕がありません。いざペットショップへ向かうことにしました。自宅からペットショップまでは車で約10分ほどの道のりなのですが、その時は長く長く感じました。赤信号で引っかかる度に「この信号赤が長いんじゃないの!」途中ヨコ入りしてくる車があると「入って来ないでよ!こっちは急いでるんだから!」・・・他人には決して聞こえない、窓ガラスを締め切った車の中で、カミさんは叫んでいました。・・・そうこうしてペットショップに到着。生後6週間のジャック・ラッセル・テリアと数日ぶりの対面を果たすことができました。マスターは子犬を抱き上げるとさっそくカミさんにそっと手渡しました。マスターから、狂犬病やフィラリアなどの予防注射の話や、役場への登録など一通りの説明を受けたあと、ようやく子犬をダンボール箱に閉じ込めて、ペットショップをあとにしました。カミさんは膝の上にダンボール箱を抱えて、家に着くまでずっと箱の中を覗いては一人でニヤニヤ笑いを浮かべて、たまに段ボール箱の中に手を突っ込み、その土の着いた汚い手で撫でようとしていました。訳の判らない赤ちゃん言葉で話しかけたり、子犬にとってはさぞかし恐怖だったと思います。しかし子犬にとっての本当の地獄はこれから始まります。我が家にはもっともっとシツコクて恐ろしい小学3年生の息子と、1年生の娘が手ぐすねを引いて待っていたのです。
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