「ただいま!」玄関を開けると、息子と娘が部屋の奥から飛び出して来ました。カミさんが大事そうに抱えた段ボール箱を見て「抱かせて!抱かせて!」と手を伸ばしてきたのです。カミさんは、「駄目!汚い手で触っちゃダメ!」・・・「あんたが言うな!」と私は心の中で叫んでいました・・・。子供たちは洗面所に行ってハンドソープでよ~く手を洗ったあと、タオルで拭き切れないまま段ボール箱に駆け寄って来ました。子供たちが手を洗っている間にカミさんは台所でこっそり手を洗っていました。カミさんが箱の中から子犬を抱き上げて、「絶対に落としちゃダメよ。」と不安そうに順番に子供たちに抱かせます。「この犬なんていうの?」「ジャック・ラッセル・テリアっていうのよ」「もう一回言って」子供たちは何度か繰り返しても覚えられない様子でした。体中を撫でまわしたり、絨毯の上で歩かせてみたり、まだヨチヨチ歩きの子犬を囲んで子どもたちは大はしゃぎです。しばし時間の経つのを忘れさせてくれました。先ほどから心配そうに見ていたカミさんが「さあ、疲れちゃうからそろそろお部屋に戻してあげましょう!」と言うと子供たちはまだ全然遊び足りないと不満そうな顔でした。特に娘は中々言うことを聞かず、最後まで手を離そうとしませんでした。カミさんが「御飯とお水あげるから手伝ってくれる?」と言うと「私があげるっ!」と言ってようやく子犬を段ボール箱に戻しました。
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