海岸沿いを走る国道136号線から離れて、内陸に向かってしばらく走ると、舗装もされていない凸凹な山道が現れます。車は左に傾いたり右に傾いたり。この道は4WDでなければ厳しいかも知れません。時折り車の床が地面を擦る音がしたり、ハンドル捌きをひとつ間違えたら車がひっくり返りそうな険しい道です。車が傾く度に悲鳴とも歓声とも取れる声が車内に響きます。何より不安なのは他に車が走っていないこと。携帯の電波は弱くなる一方だし、もしここで事故ったら誰も見つけてくれない?そんな不安と闘いながら走り続けて、なんとかキャンプ場に辿り着いた時は、過度な空腹感と揺れによる疲労感に襲われてみんなヘロヘロでした。
受付を済ませた後、自分たちに割り当てられたコテージに案内されて、さっそく車から荷物を下ろしましたが、そのまま皆で荷物の上に崩れ落ちて、しばらくは動けませんでしたが、休んでいると少しずつ元気が戻ってきて、今度は極度の空腹感が襲って来ました。夕食の準備をしながら交代で風呂に入り、長い1日の汗を流した後、ようやくご飯にありついたのは夜の7時半過ぎ。お腹が空いていたせいか、鉄板の上のバーベキューは瞬く間に綺麗になくなりました。いざお腹が良くなると子供たちはもう瞼が重そうです。食事も終わってカミさんと子供たちとランはコテージの中に入って行きました。
さて自分はというと、ウッドデッキに備え付けのアームチェアに腰を下ろして、ひとりでゆっくりとお酒を楽しめるくつろぎのひと時がようやく訪れました。キャンプ場周辺は背の高い木々が生い茂っているので、空一面を見ることは出来ませんが、それでも木々の隙間から見えたのは満天の星空でした。イヤ~それにしても今日は疲れました。ほろ酔い加減で一日の出来事を思い返していると、いきなり目の前を、バタバタと下品な羽音を立てながら、茶色っぽい大きなゴキブリ?が電燈目掛けて飛んで来て、コテージの壁にこれも大きな音をたてて「ベタッ」とへばり付いたのです。思わず側にあった新聞紙を丸めながら近づいたのですが、懐中電灯を照らして良く見ると、それはなんと立派な立派な雄の深山クワガタではありませんか。そう言えばキャンプ場のガイドブックに、深山クワガタがたくさんいるようなことが書かれていたのを思い出しました。
ただお酒を飲んでるだけで、深山クワガタが飛んでくるのです。翌朝までの間に何の苦労もなく、オスメス合わせて11匹の深山クワガタを捕まえることが出来ました。
深山クワガタに対して、ランがどの様な反応を示すのか? ランの鼻先に深山クワガタを一匹そっと近づけてみましたが、すぐに顔を横にそむけて、相手にもしてくれませんでした。狩猟犬であるジャック・ラッセル・テリアにとっては、深山クワガタは興味の対象外だったようです。
「西伊豆こうオートキャンプ場」は今は閉鎖されています。オーナーが朝霧高原にキャンプ場を移転して新たに「ペンギン村オートキャンプ場」 をオープンしました。
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