ランの異変に気付きませんでした。

病気の兆候に気づきませんでした
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8月、夏真っ盛り。
 夏の日差しがジリジリと照り付けます。昼間の気温は高く、アスファルトの路面は火傷しそうに熱くなっているので、夕方になって暑さが幾分和らいでから、ランとイチコを散歩に連れ出しました。帰り道の途中の空き地でしばらく遊ばせた後、いざ帰ろうとした時、ランがそこから一歩も動かなくなったのです。リードを強く引いても動きません。幾度か方向を変えてリードを引っ張ってみましたが、どの方向にも動きませんでした。
 イチコはランのことなどお構い無しで、帰り道を先へ先へとリードを引っ張ります。イチコには少し我慢をさせて、しばらくの間ランを待つことにしました。しかしいっこうに動く気配はありませんでした。
 ランの首からリードをはずしてイチコと二人で少しだけ先へ歩いてみました。本来の性格はリードの手を放すと直ぐに走り出してしまうラン。そのランが今度はガンとして動かなくなったのです。ランは自分とイチコの姿を目で追うだけで、一歩も踏み出そうとしません。
 そこで奥の手! ランの大好きなボールがポケットにあるのを思い出し、取り出して転がして見せると・・・・ランはゆっくりとボールの方へ近づいてきました。取り合えずホッとしました。
 家まで無事に帰って来れたこともあって、その時は、ランの身に何が起こっているのか、真剣に考えることはありませんでした。今から思えば、この時のランは必死に体の不調を訴えていたのだと思います。
 それ以降、散歩の度にランは途中で立ち止まって動かなくなっていました。ボールを転がすと何とか動いていましたが、そのボールの効力も次第に無くなって行きました。
 動かなくなったランにその理由も考えずただただ苛立ちを覚えながら、結局我慢しきれずにランを抱きかかえて家まで帰ったこともありました。でも家に戻るとランは普通に歩いて見せたので、それ以上家族の誰も、ランの体調を気にすることはありませんでした。
 この頃の写真を見ると確かにどこか疲れたような表情・・・。でもこの段階ではまだ誰も、ランの一大事に気付いてあげられなかったのです。

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